障がい福祉サービスの減算【その⑤】 事務ミス一つで報酬カット?「情報公表未報告減算」について

1. 「知らなかった」では済まされない、令和6年度からの義務化

障がい福祉サービス事業所には、サービス内容や財務状況を「WAM NET(ワムネット)」などの公表システムを通じて報告する義務があります。

令和6年度の報酬改定により、この報告を怠っている事業所に対して基本報酬を直接カットする「情報公表未報告減算」が新設されました。「たかが事務作業」と後回しにすることが、経営を直接圧迫するリスクとなったのです。


2. あなたの事業所はどっち?「5%」か「10%」か

この減算は、運営指導などで未報告が発覚し、是正の指導を受けてもなお報告を行わない場合に適用されます。カットされる割合は、サービス区分によって異なります。

減算割合 対象サービス(例)
10%減算

【主に入所系】

 

共同生活援助(グループホーム)、施設入所支援、療養介護、宿泊型自立訓練など

5%減算

【主に通所・訪問系】

 

生活介護、就労継続支援(A・B型)、児童発達支援、放課後等デイサービス、訪問介護など

仮に5%の減算であっても、月間報酬400万円の事業所なら毎月20万円の損失です。これは現場の努力では決して埋め合わせることができない、純粋な「経営の赤字」を意味します。


3. 恐ろしいのは「発覚した時」からではない

この減算には、非常に厳しい「遡り(さかのぼり)」のルールがあります。

運営指導で未報告が発覚し、指導に従わなかった場合、減算は指導を受けた月からではなく、「未報告の状態になった時点(令和6年4月まで遡る可能性あり)」まで遡って適用されます。

数ヶ月、あるいは年単位の報酬を一度に返還することになれば、事業所のキャッシュフローは一気に崩壊しかねません。


4. 経営を守るための「3つの防衛策」

指摘を受ける原因の多くは、悪意ではなく「期限忘れ」や「パスワード紛失」といった単純なミスです。事務的な穴で経営を揺るがさないために、以下の3点を徹底してください。

  1. 「自治体からの通知」を即開封する

    毎年春頃に届く更新案内を放置してはいけません。封筒を積んでおくことが、経営上最大の積載リスクとなります。

  2. 「ログイン情報」を組織で共有する

    「担当者が辞めてパスワードが不明」という言い訳は行政には通用しません。管理権限者がいつでもログイン・更新できる体制を整えましょう。

  3. 「財務状況」の準備を早めに終わらせる

    今回から「経営状況(財務諸表)」の公表も必須です。決算後、速やかにアップロードできるよう準備をルーチン化してください。


まとめ

「情報の公表」は、利用者様に向けた誠実さの証であると同時に、事業所を守るための「盾」でもあります。事務手続きという小さな穴から経営が傾かないよう、今のうちに足元を固めておきましょう。

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